スキップしてメイン コンテンツに移動

列車を乗り継いで札幌~大宮(2019年6月10日)

所用があって札幌から埼玉県に行くことになったつい先日。普通は羽田空港か成田空港まで空路を使いたいところですが、私が移動する日は札幌で複数のイベントが重なったために航空便に空席がほぼなかったのです...。だが日程は変えられぬ、ということで特急と新幹線を乗り継いで移動しました。それでは。

第1走者 スーパー北斗10号函館行き
札幌10:44→新函館北斗14:12


近くの北大とかから流れてきたであろうエルムの綿毛が漂う札幌駅。そこを11時前に出発するスーパー北斗にまず乗り込みます。

指定席に座って、「椅子は思ったより大きく座り心地がいいな」とか「JR北海道の車内誌の裏表紙広告がJALか。共存共栄だなー」とかいう感想を抱きながら早々にくつろいでたら轟音とともに札幌駅を発車。ここから南千歳までの区間は頻繁に通ってきましたが、優等列車で通り抜けるのは数年前に急行はまなすのB寝台に乗った時以来。月並みな言葉ですが、普段から見る景色も乗っている列車が変わるだけで違った感情で見えますね。それこそ上野幌と北広島の間の森林を抜けるあたりなんて、いよいよ札幌を離れた感覚を味わいましたよ。普段はまだ見知った場所にいるという感覚なのにね。

札幌から35分ほどで南千歳に着くとまとまった数の人が乗ってきます。雰囲気的に新千歳空港に降り立った人達でしょう。もちろん多国籍な顔ぶれ。北海道に外国人観光客がこぞって訪れるようになって何年も経ちますし、個人で手配して道内を観光する層も増えてきているのでしょうか。

南千歳から先はおひさしぶりと挨拶しなければいけない区間。急行はまなすがあった頃はよく通った路線ですが、当然のごとく真っ暗闇な景色しかそこにはありませんでしたし、まず私に見えていたのは夢の中の世界です。昼の姿を拝見するのは殆ど初めてかもしれません。

苫小牧を過ぎると雲を被った樽前山が車窓のお供です。樽前山の向こうの支笏湖に行こう行こう思ってまだ行けてないな。さらに進んで、東室蘭から先は山と海の距離がさらに狭くなったような車窓になります。トンネルをくぐることも多くなりますし、反対側を振り向けば噴火湾がずっと寄り添っています。こっち側に座ってれば白鳥大橋も見えたのかな?最近は飛行機の中からしか拝んで無かったので、ぜひその姿を見たかったです。リベンジに乞うご期待といったところで。

礼文華峠や静狩峠といった噴火湾すぐそばにある山々を潜り抜けてしまえばそこはもう渡島管内。だいぶ遠くまで来たという感覚です。そういえば、これらの山々の中に豊浦町が維持費を出してまで延命させた著名な小幌駅を通過しています。もちろん車窓からはトンネルとトンネルの間の一瞬しか見えませんでしたが、でかい犬連れた人がホームにいたように見えたのは気のせい...

長万部あたりからしばらくの景色と言いますと、少しひらけた土地に農地と非電化複線の線路とポツポツと立つ低い建物、通過する駅には大部分に雑草が生えたホームと鄙びた駅舎や構内踏切、あとは少し背の高い草木が生い茂り...。
私はこの景色に雄大さよりも一種の哀愁を感じてしまいました。そして、この景色を見ていると、気づいたら色々と思い出に耽ってました。というのも、前日まで数日間友人たちと久々にあっていたものでして。彼ら彼女らと他愛のない話をする中でやはり色々思うところもあったわけですよ。主に後悔とIfの話ばかりですが...。

堂々巡りになりつつある回想をしているのは列車の運行には何ら関係なく、スーパー北斗10号は既に森駅を過ぎています。駒ヶ岳に近づきつつ登り坂登っていく...はずですが私から見えた車窓は駒ヶ岳の反対側、残念ながらほぼ拝めませんでした。

大沼公園の駅を見えた後に見えてくる沼は小沼。ややこしいけどそこは観光地、きれいな景色で乗客を楽しませてくれます。しかし、大沼公園と新函館北斗の間の所要時間はわずか。あっという間に車内アナウンスが流れてきます。

第2走者 はやぶさ30号 東京行き
新函館北斗14:48→大宮18:38

新函館北斗の駅は札幌から来た特急と東京へ向かう新幹線が同じフロアに発着し、階段を使うことなく乗り換えられる構造になっています。一昔前の新八代駅に改札をつけたようなもんか・・・?(古い)実際、階段の上り下りがなくて楽なことは確かなのですが、改札口は1か所しかないためそこまで歩かなきゃいけないのと、札幌からの特急がついた時にはなんとまだ新幹線は入線しておらず、時間を持て余したのでそこまで便利だったかと言われると首を素直に縦に触れないというのがわたくしの体感です。


ここで新幹線に乗り込んでしまえばあとは大宮まで4時間もかからない程度でたどり着くと聞くと、ずいぶんと楽になったなとは思います。 大宮から函館に行く分には、新幹線は飛行機よりも便利な交通手段かもしれない。一方で車内は空席が目立ちました。それだからこそ直前に指定席を確保できたので私はその恩恵にあずかっているわけだが、


新函館北斗を出て少しすると、左手には函館山が見えてきます。田んぼの向こう側にポツンと飛び出るさまが特徴的だなと。そして北海道新幹線は新函館北斗の手前以外は木古内駅の前後を除いてほとんどトンネル。そのため、北海道新幹線で北海道を離れる人を見送る景色こそがこの函館山とも言えるわけです。連絡船の時代からトンネルの時代になり、そして新幹線に移り変わっても、函館山は北海道の入り口の象徴ともいえる存在なのかもしれないと感じました。

木古内駅を過ぎていよいよ青函トンネルに入りますが、入ったあたりから新青森の手前まで寝ていたので、わたくしは気づいたら本州に上陸していたという印象です。そして、新青森からはどっとお客さんが乗り込んできます。非常にわかりやすい旅客流動の在り方を見せつけられた印象です。

当たり前ですが、新青森から先はいつもの東北新幹線です。それでも、3時間以上かけて北海道の一部を走り抜けた感覚のままなので、次々と県庁所在地の駅に留まり、名の知れた街の駅を飛ばしていく様は新鮮な感覚でした。何度も乗ったことある区間なのにね。何よりも仙台から大宮まで70分弱でついてしまうのはまたしてもしっくりこないまま大宮についてしまいました。福島も宇都宮も通り抜けて70分弱。時間距離だけでみると大宮から湘南新宿ラインで横浜に行くのと大差なく、東京で乗り換えて千葉に行くより早く着くらしい。そう考えると新幹線の威力がよくわかります。確実に遠隔地の都市間の「距離」を縮めています。新幹線が良くも悪くも社会や生活に影響を及ぼし続ける存在であることに疑いの余地はないでしょう。



にしても、札幌から大宮まで7時間54分はしんどかった。乗り換え1回だとかえって気分転換できないんだよなあ・・・。まだ東海道線乗り継ぎで東京~大阪のほうがましだわ。

このブログの人気の投稿

パンスタードリーム 大阪→釜山 2020.1.24【2020旧正月旅行記】

注:本旅行記は2020年1月のものであり、現時点の状況とは異なる場合が多いにあり得ます。その点ご留意ください。 ------------------------------------------------------------------------------------------ 船で国境を越えてみたいとは何度も思っていた。例えば、北海道の稚内から宗谷海峡を越えてサハリンのコルサコフに至る航路はかねてから私の旅情を掻き立てていた。日本の端っこからさらに先に行ける、というのである。日本地図にかすかに描かれるかどうかの地への興味、そしてそこへ至る航路への関心は想像力をたくましくさせるだけのものであった。しかし、乗りたい時に限って運航日と私の手帳に刻まれた予定が丸被りしたり、財布が旅費の支出に難色を示したりした。そんなこんやしているうちに、徐々に運航体制が縮小され、2019年にはついに1日たりとも運航されなかった。チャンスを逃してしまった悔しさはそう小さくないものである。 しかし、西日本に目を向ければ、「船で国境を越える」ということ自体は容易に達成可能である。福岡から釜山へは毎日多くの船が行き来している。また、対馬は昨今韓国人に人気の観光地としても知られるが、彼らが韓国から対馬を訪れる手段はもっぱら釜山からの船だという。対馬海峡においては日常的に船で二国間を行き来する旅客がいるのである。 その対馬海峡を越える国際航路の中で1つだけ大阪から釜山まで客扱いをする航路がある。これが今回乗船したパンスタードリームである。私ははるばる空路で札幌から大阪まで赴いて、船での国境越えという積年の夢をかなえるのであった。 阪神百貨店地下のスナックコーナーで腹ごしらえをしたのち、御堂筋線と中央線を乗り継ぎコスモスクエア駅へ。混雑する地下鉄車内でスーツケースはやはり肩身が狭い。そこから、人が少ないが道幅は広いという典型的な港の道を歩くこと15分ほど、コンテナを乗せたトラックが頻繁に行き来するふ頭にたどり着く。最後は通るのを一瞬ためらうようなコンテナ置き場わきの道を通ると、ふ頭の一角にポツンとある国際フェリーターミナルからパンスタードリームは出発する。少し早めにたどり着いたためだろうか、少し薄暗いターミナルの中に人はほとんどいない。警備の警察官がその存在感を少

風景印①札幌駅パセオ郵便局

郵便局の風景印集めも気が向いたらやっているこの人間、少しずつここにのっけていくのもありだろう。(旅行記書き終わっていないけどな!) 札幌駅パセオ郵便局 記念すべき第1回は札幌駅高架下にあるパセオの端っこ、近くの持つ鍋屋のにおいがひたすら空腹を誘うときも多い 札幌駅パセオ郵便局 。駅直結なので来訪者にとっても行きやすい立地かと。 デザインは札幌中心部最大級の商業施設でもありJR北海道の貴重な収入源ともいわれる札幌駅南口直結のJRタワースクエアとJR北海道の特急列車。形式は何だこれ・・・?JR北海道の特急車両はどの車両も見た目が似ているのでデフォルメして単色刷りにすると区別をつけるのは楽じゃないですね。 ちなみに、この風景印右手にある高い建物がJRタワー。高さ173mと北海道で一番高い建物である。このJRタワーの最上階は タワー・スリーエイト という展望室になっています。 北海道で一番高い建物というだけあって、眺めは非常に良い。札幌中心部のみならず北海道ではままみられる碁盤目状の道路もはっきり見て取ることができます。 眼下には札幌駅に出入りする電車も拝めます(この写真には写っていないけど)。ちなみにこの写真上の線路右手に北海道新幹線の札幌駅ホームが設置されることになっています(JR北海道 「新幹線札幌駅について」 :PDF注意)。にしても、東横インはどの町の夜景を見ても死ぬほど目立ちますねえ・・・。 最後のほうは風景印そっちのけで展望室の紹介記事になってしまいましたが、気にしてはいけない。こんな感じで気が向いたら緩く風景印を紹介していきます。 おっと、最後に重要な情報を忘れていた。このタワー・スリーエイトは誕生日当日は無料で入れますので自分の誕生日を祝いたい方はぜひ。

北斗星の思い出(2014年)

2014年に1度だけ札幌から大宮まで乗った北斗星。今まで夜行列車と言ってもほとんどムーンライト〇〇だった私にしてみれば、横になって移動できる上に観光列車でもあった北斗星など憧れの存在でしたわけで、まさか乗れる機会が来るなど思っていませんでした。 札幌駅入線時もカメラを構える人が大勢いた記憶。もちろん私もその一人でした。 この日の宿はB寝台ソロ。立ち上がれないくらいの高さしかない個室でしたが、そんな狭い個室の中から眺める車窓も今となってはいい思い出です。 17時過ぎに札幌駅を出た北斗星は千歳線や室蘭本線を経由して徐々に南下していきます。そういえばこの時には新札幌を通過する唯一の定期特急でしたね。(臨時特急だとカシオペアとかトワイライトエクスプレスとかいたけど) 函館では青函トンネルをくぐるために機関車の付け替えが行われました。夜の雪景色の中でも目立つ赤色のED79が迎えに来るかのようにやってきて、そして職員さんの素早く性格なしゴロぶりで連結されていきました。その様子を観察すべく、寒い中でも見物する乗客はちらほら。 函館を過ぎたあたりから食堂車のメニューのお値段がお手頃になった(多分)ので、軽く晩ごはんを食べました。今となっては何を食べたかよく覚えていないのが残念ですが、これが人生最初で最後の日本国内の列車の食堂車でご飯を食べた記憶になるのかな。 青函トンネルをくぐっている間に寝て起きたら郡山。本州に上陸しているどころか南東北まで来てしまっていましたが、その距離と時間を感じることがなかったくらいには気兼ねなく夢の世界に顔を出していまいた。 大宮に着く頃にはもう朝のラッシュも一段落している時間でした。後ろに近い車両に乗っていたので、降りた後は最後尾の電源車がどんどん小さくなるのを見守っていました。 札幌を出発する時間くらいのエアポートに乗って新千歳空港から飛行機に乗れば日付が変わる前には大宮にはつけているはず。しかし、寝ながらかつ乗ること自体を楽しみながらゆっくり移動することの面白さは飛行機とはまた違った味があるな、という印象でした。四季島とかななつ星とかもお金があれば乗ってみたいですね・・・。